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2017/5/23(火)音空間を探る

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今夜の一枚
The Real McCoy/McCoy Tyner
McCoy Tyner(p),Joe Henderson(ts),Ron Carter(b),Elvin Jones(ds)
Apr.21,1967録音 Blue Note Records

有名盤である。

去る5/18はジャズ・ドラマーのエルヴィン・ジョーンズ氏の命日であった。その夜、友人のエルヴィン追悼ライヴを観に行った。途中、このCDを購入してきた。ジャズを長い間聴いていても実はこのアルバムを聴くのは初めてである。自分、結構そういうところがある。

最近ジャズを聴く機会が減ったが、ジャズを聴く時はエルヴィン・ジョーンズばかり聴いていると言っても過言ではない位このドラマーを再認識している。自分、じつはずっとエルヴィンのドラムを理解出来ずにいた。はっきり言ってしまえば好きではないドラマーだった。それが後年、このエルヴィンのファンである人達に多数出会った事も理由にあるが、かつての反動と言える位このドラマーにのめり込んでいるのである。

エルヴィン・ジョーンズはユニークなドラマーだ。ジャズ・ドラマー数多いれど、この音を出せる人は僕の知る限り彼しかいない。比較的近いのはピート・ラ・ロッカか…。

僕の今までの音楽鑑賞史(笑)を振り返ると、大まかに3つの段階に分けられるのかなと思っている。まず初期、自分は日本の歌謡曲から音楽にのめり込み、程なくしてアメリカのチャートものを聴くようになった。この頃僕は音楽のメロディーに興味を持っていたのだと思う。その後程なくして自らドラムを演奏するようになり、自ずと音楽の興味もドラミングが面白い黒人音楽系に移り、その流れでジャズにのめり込んだ。この頃は音楽のリズムに興味を持っていた訳だ。そして最近は中東欧の女性ヴォーカルの民族音楽、特に日本では無名な旧グルジアのミュージシャンのNino Katamadze姐さんやこのエルヴィン氏のドラミング等に興味を持っている。今僕は音楽のサウンドに興味を持っているのである。

メロディー → リズム → サウンド。この変遷の中でサウンドが一番解りにくい概念だと思う。サウンドって何だろう?例えば締め切った部屋でステレオに対峙して音楽を聴くとする。そこで10曲音楽を聴くと聴いていない人も1曲聴いた事になります…。

…というのは冗談で、締め切った部屋でステレオ若しくは生演奏で音楽を聴くとする。ステレオ音源のアルバムなら元々各楽器が左右もしくは中央に振り分けられていたりする。生演奏であれば各ミュージシャンの立ち位置で音の聴こえ方が違う。更に発せられた音が部屋の壁・床・天井に跳ね返ったり吸収されたりして複雑な音の位置関係を作り出す。それに各楽器や声が持っている音色(ねいろ)。そういったものの総合体が作り出す抽象画のような世界。「サウンドスケイプ」という単語もある。

そう、エルヴィン・ジョーンズはサウンドのドラマーだ。ジョン・コルトレーンのかの有名な「黄金のクァルテット」だって、そりゃテクニックの主役はコルトレーンだが、サウンド的にはエルヴィンのバンドと言っても過言ではないと思っている。エルヴィン氏と他のジャズ・ドラマーは次元が違う。以前も書いたが、他のジャズ・ドラマーのサウンドを画用紙に書いた普通の絵画に例えると、エルヴィン氏のサウンドは一時期流行ったあの3Dアートである。幾何学模様のようなあのアートを数分視点をずらして凝視していると突然その模様が透けて立体的な文字や形が見えてくる瞬間がある。それを初めて気付いた瞬間はびっくりしたものである。エルヴィン氏のドラミングは正にあれである。ただ、3Dアートがそうであるように、それを体験するにはコツを掴む必要がある。

僕は今更ながら、彼のいろんなアルバムを聴きながらその音空間を探っている。昨日よりもはっきりとその奥行きが見えたときはなかなか嬉しい気分になる。そういうサウンドを出せるドラマーは今のところエルヴィン・ジョーンズ氏以外に知らない。






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