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10/12(水)笛の魔法

meszecsinka.jpg

今夜の一枚
Álomban ébren (Awake In A Dream)/Meszecsinka
Oláh Annamaria(vo,saz),Biljarszki Emil(g,key,xylophone),Vajdovich Árpád(b,double b),Krolikowski Dávid(per.ds),Karen Arutyunyan(g,duduk,flute,mandolin),Kézdy Luca(vln),Kovács Ferenc(tp)
2016発表 NarRator Records

笛という「道具」は元々、遊牧民族が家畜を統率する目的で、或いは狩猟民族が獲物をおびき出す目的で太古の人類が作ったものだと思っている。つまり草原の道具であり森の道具だ。

その後笛は様々な用途に進化した。楽器となって音楽に使われるもの、祭り事を賑やかに盛り上げる為のもの、道に迷った時に他の者に居場所を知らせるGPS的役割、人を襲う天敵を恐れさせる魔除けの役割、等々…。あ、前回こんな日記を書いたばかりですが、笛の起源に関しては資料が乏しかったのでかなり出鱈目かも知れません(笑)。

ブダペストのグループ、Meszecsinkaの3枚目のアルバムがザビエルさんから届きました。有難うございます。このグループももう3枚目ですね。

何と言っても目玉はクローザーの15分に及ぶ長尺曲"Hajnalban(At Dawn)"だ。長尺曲と言っても、プログレにあるような組曲風のそれというよりは、クラブやトランス系のループ曲に近い印象を僕は受ける。同じリズムの流れの中でいろんなものがくっ付いたり離れたりしながら盛り上がったり落ち着いたりする。

これは草原を駆け巡る曲だ。ここでゲスト・プレイヤーKaren Arutyunyanの吹くフルートが出てくる。ここでのフルートの音は太古から人類が用いてきた様々な用途の笛に変化する。草原の動物達を呼び寄せたり、或いは草原に宿る魂共を呼び起こして宴になったり…。鳥葬、風葬、散骨…。古くから草原は躰を失った人間の魂共が彷徨う場所なのだ。

それに寄り添うアナマリの声もまた七変化する。ある瞬間は獣の雄を狂わせる雌の鳴き声に…。ある瞬間は猛獣さえも尻尾を巻いて逃げ出すような狂気の声に…。

正直言うと、僕は元々このMeszecsinkaというグループはあまり好みではなかった。前身のグループFókatelepはすぐに大好きになったが、このMeszecsinkaはちょっとトラッド色が強すぎた。世界の音楽が好きな癖に、都会の音楽が好きな為、土着系の音楽はちょっと苦手なのだ。でも時間を追うに従ってこのグループの虜になってしまった。嫌いなものさえも狂わせてしまう魔力を持つ歌い手、アナマリ。一目見たものを石にしてしまうメドゥーサのような魔女である。最強のヴォーカリストだ。

奇しくも前作は2年前の前日に旧ブログで採り上げた。「小さい月」ことブダペストのMeszecsinkaは秋の夜の音楽である。今月の満月は10月16日にやってくる。満月を見上げながらMeszecsinkaを聴こう。すすきが風に靡く日本の草原でもアナマリの歌声が魂共を呼び起こす事であろう。





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